12 蜂蜜
ファームでは、蜂蜜も自家採取していた。
木枠に蜜蝋を張り付けた巣ヒ
(スヒ:蜂たちが子育てをしたり、蜂蜜を溜めたりする巣のこと)
を入れた巣箱を設置して蜜蜂たちに巣を作ってもらい、
蜂蜜が十分溜まったら採取する。
ある日、ピーターが、長袖、長ズボン、長靴、ゴム手袋に、
顔を覆うネット帽といういでたちになった。
巣箱の蓋を開け、煙燻器で上から全体に煙を吹きかけ、蜂を大人しくさせてから、
巣ヒを引き出した。
木枠を壊して蜜ぶたを包丁でそぎ切り、それをそのままザルの上に置いておき、
したたり落ちてきた蜂蜜を漉した。
(蜜ぶたは、蜜蜂の巣箱の中に貯められた蜂蜜が蜜蜂たちによって熟成されると、
保存のために、蜜蜂の巣の材料である蜜蝋で蓋がされます。
この蓋のことを「蜜ぶた」と言い、蜜ぶたが出来ると蜂蜜が絞れます。)
アーユルヴェーダでは、サトヴィック・フード(徳の質をもつ純質の食べ物)
として尊ばれる、非加熱の生蜂蜜の出来上がりだ。
わたしは、採取の様子をじっと眺めていただけだったが、
首すじを一カ所刺され、その夜、高熱を出した。
ピーターも刺されたが、免疫があるらしくなんともない。
貴重な蜂蜜を一瓶いただき、日本の両親へのお土産にした。
数年後、
ロシア人の夫婦が細々と自家採取して作ったマヌカ・ハニーをマーケット(市)で見初め、
どこで作っているのかを聞くと、なんとご近所さんだった。
一生分(?)を買い込んで、上手くパッケージして、船便で日本の両親に送った。
父親が、東洋医学をやっている弟(わたしの叔父さん)にあげたら、
アトピーの患者さんにお分けしたらしく、
マヌカ・ハニーでその患者さんのアトピーが改善したことを後日談として聞いた。
今では、超有名になった、あの高価な“マヌカ・ハニー”だ!



